幸せまでの距離

カナデはまだ、迷っているよう だった。

口にされなくても、メイはカナデ の気持ちを読むことが出来た。

さっき彼女が言っていたように、 自分と別れた後に、トウマとメグ ルが付き合うのではないかと、複 雑な気分を抱えているのだろう。

「メグルはトウマとは付き合わな いよ」

「そんなの、分かんないじゃん!

私が……邪魔者がいなくなった ら、あの女はきっと、喜んでトウ マと付き合うよ。

私の気も知らないで……」

カナデは行き場のない悔しさを、 寸前のところで我慢していた。

「分かるよ。メグルはそういう人 だから」

メイは言った。

「メグルは誰かを苦しめてまで自 分が幸せになろうとは考えない よ。

実際、今朝も、アンタを傷つけ たって悩んでたしね」

「ウソ…………」

にわかには信じられないようだ。

カナデは疑いのまなざしでメイを 見ている。

メイはそれにやや気分を悪くしつ つも、面倒なので口には出さず、

「私から言うことでもなかった ね。

直接本人に訊いてみれば?」

と、そっけない口調で提案した。

カナデだけでなく、このままでは メグルも後味が悪い思いをするだ け……。

メイはそう思えてならなかった。
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