幸せまでの距離
しかし、カナデはメグルに会うの を拒んだ。
始まったばかりの専門学校生活の 中、メイが無駄なウソをつく人間 ではないと実感してはいるのだ が、
「メイちゃんの言ってることを疑 うわけじゃないけど……」
と、ためらうカナデ。
経緯はどうあれ、相手はトウマに 近付いた女。
「本人に会ったら、冷静でいられ る自信もないし……」
「……そう」
そういうことなら仕方ない。
メイも、メグルに会うことを強要 しなかった。
「メイちゃんの言う通り、あの女 とちゃんと話すべきなのかも。
そしたら、今とは違う方向にいく かもしれない。
でも、理屈じゃなく、気持ちがつ いてかない」
「……そういう感覚、分かる気す るよ」
メイは、リクと別れた時のことを 思い起こした。
理屈で考えてみれば、世の中、受 け入れられるものの方が多いのか もしれない。
でも、リクのことに関しては、そ ういう風に判断できなかった。
心に、鉄壁が出来てしまってい る……。
人という生き物は、全ての選択肢 を感情優先で選んでいるのではな いかと、メイは思った。
「私がトウマと別れて、あの女が トウマから身を引いたとしても、 私はあの女を許せない気がする」
「アンタが一番許せないのは、ト ウマとメグルが付き合ったこと じゃなく、トウマがメグルの影響 で変わってしまったこと?」
カナデは怒りと悔しさがにじんだ 声で、
「……うん。
あの女と知り合ってから、トウマ は変わった。
表面上では夢を追ってても、どこ か全てに投げやりな感じだったの に、あの女に出会ってから、トウ マは劇団での練習に気合いを入れ 直してた」