幸せまでの距離

「それは、人それぞれだよ」

メイはリクのことを思い出し、そ う言った。

以前リクは、メイを助けるために 小遣いやバイト代をメイに与えて くれたが、メイの存在を下に扱う ようなことはしなかった。

いつもいつも、対等に話してくれ た。

注意するところは注意し、許すと ころは許してくれた。

「トウマはただ、そういう男だっ たってだけだよ。

もう、別れるんだろ?」

「うん」

カナデは迷いのない目で、

「裏切られてまでしがみつくの も、なんだかね。

バカにするなって言いたいよ。

……いつまでも、同じとこに留 まってるのもねー。

元々、そういうの苦手だったし」

「なら、トウマの件で色々考えて もしょうがない。

今後、同じことを繰り返さないよ うにすればいいじゃん」

「そうだよね!」

カナデはだいぶ、楽になったよう だ。

重苦しかった空気も、今はない。

「メイちゃんと話したおかげだ よ。

もう、トウマなんかに縛られるの 嫌になった!」

「……アンタ、ホントに切り替え 早いね。

トウマのこともそうだけど、つい さっきまで私を嫌ってたクセに」

メイは鼻で笑う。
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