幸せまでの距離

笹原は、ミズキの気持ちを知って か知らずか、

「もし良ければ、少し話そうか」

と、自分の研究室にミズキを呼ん だ。

ミズキは笹原を頼ってみようと、 図書室を出て、彼の研究室に行く ことに同意した。


静まり返った廊下を数分歩くと、 《笹原研究室》と書かれたプレー ト付きの扉の前にたどり着いた。

研究室には、ゼミの時にしか入っ たことがない。

中に入ると、壁一面をおおうよう な本棚。

中央には学生数人が座れるダイニ ングテーブル。

奥の窓際には笹原教授のデスク、 その隣には冷蔵庫やコーヒーメー カーが置いてある。


笹原教授は臨床心理士の資格を 持っている。

本棚に収められた、背表紙の厚さ や高さもまちまちの本。

タイトルを見ると、やはり心理学 関連の書籍が多かった。

笹原は、この大学でゼミのクラス や講義を受け持つ一方で、県内の 私立校を中心にスクールカウンセ ラーの非常勤講師をしている。

自らのカウンセリング経験を元に した著書も数冊出版しているし、 時折、教育に関するテレビ番組に も出演している。
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