幸せまでの距離
ミズキを研究室に招くと、笹原は 備え付けのケトルで紅茶を入れ、 テーブルに置いた。
「すみません。いただきます」
ミズキがテーブルに座ると、笹原 はその向かいに腰を下ろし、
「どう、おいしい?」
と、友達のようなノリで紅茶の感 想を尋ねた。
「すごくいい香りですね。
こんな美味しい紅茶、初めてで す」
ティーカップを手にその香りを楽 しむと、緊張気味だったミズキの 頬もほころんだ。
「知り合いがイギリスで買ってき てくれたものなんだよ。
リラックスしたい時の、僕の愛用 品」
笹原は茶目っ気たっぷりにそう言 うと、
「図書室で、何を探してたの?
よければ、僕の本をかそうか?」
と、自身の本棚を指差す。