幸せまでの距離

「ありがとうございます。あ の……」

最初は返答に詰まったが、しばし 間を空けた後、ミズキは笹原に尋 ねた。

「先生は、高校でスクールカウン セラーをされていますよね?

そういう時、気になる子に出会っ たりしますか?」

笹原の話を聞いて、少しでもメイ の心を知る手がかりにしたいと 思った。

「それがねぇ……。

僕のところに相談しに来る生徒さ んは、思ってた以上に少ないんだ よ。

いま君に、キッチリした回答をし てあげられなくて申し訳なく思 う」

笹原は悩ましげにそう言った。

私立校に通う中高生を中心にカウ ンセリングをしている笹原だが、 現状は思わしくない様だった。

「世間では、まだまだ偏見が無く ならないんだよ。

精神科の病院とか、そういう心の 病気に対する、ね……」

「そうなんですか……」

ミズキは切なげに目を伏せる。

「中高生は特に、周囲の評価や周 りの目を気にする年頃でもある。

周囲の評価が、自分の在り方を左 右すると言ってもいいくらいに。

そんな中で、学校内のカウンセリ ングに通ってるなんて知られた ら、クラスの子に何て言われるか 分からない……と、不安になるみ たいだね。

学校側も、それを問題視してる よ」

「その通りかもしれません。悲しいことですね……。

心の病は、特別なものじゃなく、誰もがかかる可能性があるのに」
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