幸せまでの距離
久しぶりに顔を合わせたメグルとリク は、当たり障りのない挨拶を交わして以 来、黙りこんだ。
それぞれに考えることがあったから。
メグルは、カナデとトウマの現状を、
リクは、メイに新しい友達が出来たこと を深く受け止めていた。
メイが通路に出る直前、メグルのケータ イがポケットの中で振動した。
店からの電話かもしれない。
確認すると、知らないアドレスからメー ルが届いていた。
《メグルちゃん、久しぶり。
池上トウマです。》
メグルは立ち上がり、まじまじと画面を 見つめた。
さきほど職場のテレビに映っていた人間 から、別れた男性から、直に連絡が来て いる。
「メグルちゃん…!?」
驚いたリクが、彼女を見つめる。
リクの反応にかまわず、メグルは先を読 んだ。
《これは新しいケータイのアドレスで す。
前のケータイは、事務所の人に解約され ました。
今後、週刊誌に載るような交流は控える ようにと、指示されました。
でも、どうしても最後にお礼を言いたく てメグルちゃんにメールをしました。
今までありがとう。
メグルちゃんに出会い、別れたおかけ で、俺はやっと、前に踏み出せた気がす る。
返信はいりません。》
「……そんな。カナデちゃんの存在 は?」
無意識のうちに漏れる独り言。
トウマの中に、カナデの存在はひとかけ らも残っていないのだろうか。
メグルには、トウマの心情が理解できな かった。