幸せまでの距離

「俺がもしメイの立場だったら、あなた に裏切られたって感じると思います」

リクは保の首に両手をやり、絞めようと して、やめた。

「あなたの罪を知った時、俺はあなたに 殺意を覚えました」

保の首に手をかけたまま、リクは言葉を 継いだ。

「でも、殺しません。

それが、メイを守りたいと願う俺の、人 間としてのプライドだから」

リクは保の首から手を離し、彼に背を向 ける。

「翔子さんも、あなたも、性犯罪や虐待 の罪を軽く考えていたんだとしか、思え ない。

そういう罪も、放火や殺人と同じよう に、量刑を重くするべきだと考えます。

女性や子供を簡単に傷つけるような人間 は、死刑でも足りないんじゃないかっ て……」

リクは再び、保に視線をやった。

「だって、そうでしょう?

女性の意思なんか無視して、自分の欲の ままに生きているんだから、動物と変わ りませんよ。

性犯罪を犯した男性は、手足を切断して 動けなくするくらいの罰を与えないと、 再犯防止にならないと思います。

たとえメイがそう望まなくても、俺はそ う強く望みます。

被害を受けた人の心の傷は、なくならな い。


……メイは、大人や男に関する全てを諦 めています。

身近な人間につらい思いばかりさせられ たのだから、そうなりますよね。


あなたの言うことが本当なら!

メイが望まれて産まれてきた子だという のなら!

どうしてメイだけがあんな想いをしな きゃならないんですか?

なんで、罪を犯す前に思い留まれなかっ たんですか?

『傷つける』って、少しも想像できませ んでしたか?

悔しいですよ……」
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