幸せまでの距離
「たしかに、お金は必要だけど……」
リクは思う。金は人をおかしくする、 と。翔子がそうだった。
「そうだよな。うん。金は、どれだけ あっても困らないしな。でも……。
俺は、実家で出される高級ひつまぶしよ り、山本さんと食べるスーパーの磯辺揚 げの方が好きだな。
今の家族に養ってもらってること自体 を、重荷に感じる。だから……」
ショウマは立ち上がり、迷いのない瞳 で、もう一度言った。
「俺はもう、今の親をアテにして生きる のはやめる。
だから、大学やめて、地元で住み込みの 仕事見つけて働くことにした。
なんの気兼ねもなく、毎日を過ごした い」
「本気、なんだね」
「本気。自立して、親にはなんの文句も 言わせない」
リクもつられて立ち上がり、寂しげな顔 で言った。
「そっか。せっかく仲良くなったのに、 一緒に卒業できないのは寂しいけど、 ショウマが決めたことなら、応援す る!」