きのこうどん
この地域は冬になると雪で埋もれてしまう。
そのためここに植えられている大半の花は
春と夏に咲く花ばかりだ。
 
公園の隅の方には青葉で包まれているアーチがいくつか置いてあってまるで、トンネルのように綺麗に整頓されている。
 
日影が十分に出来上がっていてボクらはその場所を好んだ。
 
「ちこ!ここボクらだけの秘密基地にしようよ!」
 
そこへと走って行ったボクは樹木で囲まれ表からは見にくい陰になっていた場所を指差し
秘密基地に最適だと提案した。
 
男の子ってやつは影を見つけるとなぜか秘密基地にしたくなる。
 
誰もが知っている秘密基地。
バレバレの秘密基地。
 
きっとこれは本能的なもので、何千年も昔の男の子は秘密基地を作り上げると好きな人をかくまって守っていたんじゃないかなって思ってる。
 
するとちこは、ボクが見ていた青葉のアーチを見た後、ボクの方を見てそれから周囲を見渡し言った。
 
「そうね。じゃここで結婚式をしましょう!」 

「は?」
 
秘密基地が結婚式?意味が分からない。ちこが続けて言う。
 
「アキト君、知らないの?」
 
「え?何?」

「好きな人同士は結婚するのよ。」

「ん?うん。」

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