きのこうどん
「ばあちゃんは、腰が痛いから紫苑とお留守番してるわ。大きいのとって来てな。」
「わかった。」
 
なんて言ってたけどばあちゃんは紫苑のお守。
 
ボクらはひとまずお姫様ごっこを終え次なる遊び場へと向かって行った。

「ちこ、畑行こ!」

ボクらは家の前にある道路へと出た。畑はボクら親子にちこ親子で行く。
 
「ねぇ、まだ行かないの?」
 
山ばぁとじいちゃんは先に畑で待っているらしく後はボクらだけなんだけどいつまでたっても父さんが出てこない。
 
「うんこだって。」

少し、飽きれて母さんが言った。 
 
「えぇ、また?うんこは放っておいて先行こうよ。」
 
平日の父さんはいつもこんな感じでマイペース。父の威厳ってやつは普段の生活から子どもたちの心に根付くものらしく、ボクが言うのもなんだけど父さんの精神年齢は小3くらいだろうと感じていた。
 
こうボクが提示しても母さん達は家の玄関先の庭でしゃべっていてボクの意見を聞いていない。
 
父さんが来るまでボクらは玄関の周辺で待たなくてはいけないらしい。
 
「ねぇ、ねぇ。アキト君。」
 
ちこがシャツの背中を引っ張る。
 
「何?」
「ほら見てよ。」
「ガードレール?」
 
彼女の指差した場所にはガードレールがある。
 
「違うよ!」
 
その奥には草木がぼうぼうと生えていてガードレールの向こう側は見え難い。
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