きのこうどん
そう、ボクに諭すように俯きながら彼女は言った。
 
「そうなの?」
「うん。」
「どうしよう?」
 
本当に、どうしようってしか考えてなかった。
 
不幸になる。不幸になるって何?不幸はボクの嫌なことでしょ?ボクの嫌なことは、ちこにもう会えなくなること。そんなのヤダ。そんなのヤダよ。すぐ半べそになるボクに彼女は言った。
 
「大丈夫よ。私がアキト君と幸せになれますようにって祈ってあげるから。」
 
彼女が言う顔をじっと見て救われた。
 
「ホント?」
「うん。」
 
「それで、ボクらは幸せになれる?」
「うん。」
「わかった。ボクもちこが幸せになれますようにってお祈りする!」
 
それから彼女はボクの手を取って行こっ、て腕を引いた。
 
彼女の見つめる向こうでは父さんがやっと来たらしく母さんがボクらに行くよ、と呼んでいる。
 
手を引かれてるボク。
なんだか、幸せだった。
 
どうしてこんな気持ちが生まれてきたのか分からない。
 
ボクはちこを一生大切にする。ちこ、ボクが君を守るよ。約束する。
 
そう、心に誓った瞬間だった。
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