テディベアの彼女
10秒間が開いて、やっと頭の中で全部が繋がった。


「ひどい!」


未だに繋いでいた手を離して
そのままポカポカと幹斉の胸元を叩く。

いい人なのかと思えば、
たまにこういう悪戯をするから
本当に読めない人だ。

でも
きっと優しい人だと思う。

だから、叩いていた手を止めた。


「で?ここからどこに――」


言いながら下がっていた視線を幹斉に向けた。

笑っているだろうと思っていたはずの幹斉は、
なぜかもの凄い険しい顔をしている。


なんで?

私、そんな力入れて殴ってなかったよね?

嫌、だったのかな?


「幹斉、わたし…っ」


「あれー?
何か変なモノが入ってきたと思ったら…。
幹斉くん、君だったのかぁ。」

びくっ!

突然奥から聞こえてきた声。

何かわからなくて、戸惑う視線を幹斉に向けたけど

幹斉は未だに険しい顔。


…よく見れば、視線が

声がした方向に向いてる?


「…有人。」


今までにないくらいの、幹斉の低い声。

ありひと、って…

幹斉の視線を辿る。


「久しぶり、幹斉くん。」
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