テディベアの彼女
有人さんは一歩中に入って扉を後手に閉めた。

にやり、という笑みは、
もう逃げれないよとでも言っているかのようだ。

更に、有人さんは扉から手を離して、私の方へ静かに歩いてくる。

その間もずっと目が合っていて、
まるで私を捕食しようとしているかのようだ。

静かに歩いている、とさっき言ったが、
にもかかわらず威圧感が尋常じゃない。


距離、1メートルといったところだろうか。

大股一歩の距離。

そこを小さく超えて、有人さんが目の前に座った。


「…。」


上から下まで、舐めるように見回される。

そして、目を凝らすように私の胸の辺りをみて、
小さく、ふーん、と言った。

なぜだろう、
何もかも、見透かされている気がする。


「そっかぁー、君、良くできた張りぼてちゃんなんだね。」


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