テディベアの彼女
「ぁ…」


…でも、聞く空気ではない。

そう思って、言い出しかけた言葉を飲んだ。

なのに

有人さんはそれに気付いて、こちらを見た。

そして、私と目を会わせたまま、幹斉との話を続ける。


「あのね、幹斉くん。
あの時のことは謝るよ。
でもさ、もう終わったことを今更気にしても仕方ないじゃないか。

…それとも、まだ引きずってるの?」


挑発的な態度で喋る有人さんは、自分より年上の幹斉を見下しているみたいに見える。

そして、嘲るような…
悲しそうな目を一瞬だけした。


「まだあそこから動けないんだ…。
別にいいけどね、僕にとってはどうでもいいことだし。」


「―っの…!」


「じゃあ、また来るよ。
どうせまだいるんでしょ?」


"幹斉がキレる"

そう思ったけど、有人さんは怒られる前に「じゃあねー」と退散していった。

本当に、人をおちょくるのが上手い。


にしても、この空気。

どうしたらいいものか…。

< 38 / 63 >

この作品をシェア

pagetop