テディベアの彼女

そういえばお風呂にまだ行っていなかった。

行けばすぐにこの空気から脱出できる。


だが、その前に


「…幹斉」


勇気を振り絞って一言。

これだけは言っておなかなきゃいけない。


「あの、ね?


…助けに来てくれて、ありがとう。」


「…」


返事は、ない。


「っそれだけ、だから!
お風呂入ってくるねっ!!」


「あ、おい!」


引き止める声が聞こえた気がしたけど、
あの空気から早く逃げたくて、幹斉を無視して部屋をでた。



だって

幹斉のまとう空気が

あまりにも辛くて


だって

幹斉が

なにか大切なものをなくしてしまったような

そんな顔をしてるから


"あの時のことまだ引きずってるの?"

"まだ、動けないんだ…。"


有人さんは、何かを知っている。


有人さん

幹斉

そして、私の知らない誰か。


何があったのかはわからないけれど

有人さんも幹斉も

その過去に縛られている気がした。


そして、私も。

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