テディベアの彼女
真っ暗な闇の中、
川の流れる音だけが聞こえる。

足を少し動かせば、音で砂利の上にいることがわかった。


ぎぃ、という音が次第にはっきり聞こえだして
その音がなくなったかと思ったら、
しわがれた声が話しかけてきた。


「…なんだ、お前まだ渡れないじゃないか。
なぜここにいるんだい。」


渡れない…?

あぁ、ようやくわかった。

ここは三途のほとりか。


「わからない…でも、戻らなきゃ。
叶えたい願いがあるの。」


私は、あの人にもう一度あいたい。

私の答えを聞いて声はしばらく思案するように沈黙した。


「…。」


なにかマズいこと言ったかな…?


あまりに長い沈黙に耐えきれなくなりそうになった、

そのとき


「あははははっ」


突然声が大きく笑った。


「…お迎えが来たようだよ。
還りなさい。」




どういうこ――


「良!」


え…


幹斉の声が聞こえた。

頭がそう認識すると同時に、視界を靄がかかっていくように闇が覆った。


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