テディベアの彼女

* * *

「――!」

なんだ、これは。

今本家にいる陰陽師たちでこの間にいないのは…3人だけか?

1人は玄関にいたし、1人は幹斉だから綾ちゃんの護衛だし、もう1人は確か仕事中だったはずだ。

…ってことは、今集められる戦力は全てここにあるってことか?!


何だってんだ、一体。


「見ての通り、客だ。

移すにせよ祓うにせよ、まずは弱らせなきゃならん…が、如何せん人が足りんのだ。

本当は未熟なお前を駆り出すべきではないのだが、猫の手も借りたい状態でな…。

有人、お前急いで準備して手伝え。」


「…は、い。」


手伝えと言われたから、急いで簡単に禊ぎを行い、正装して先ほどの間に戻った。


"――移すにせよ祓うにせよ"


移すなら、おそらく綾ちゃんの出番だろう。

もしかしたら、祓えないかもしれない。

だからそうなる前に、祓ってしまえばいい。

それだけの話。

それだけの話、なんだけど…


綾ちゃん…。


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