テディベアの彼女


「ふぅー、疲れたあー。」


時刻は7時30分を過ぎた辺り。

結局10分の休憩を2回挟んだ以外はぶっ通しで真言を唱えてた。

3度目の休憩を挟もうとした、ちょうどその時に応援が来て、
やっと交代して抜けてこれたというわけだ。


「…幹斉くん、何してるかなぁー。」


部屋に戻ってきた僕を待ち受けていたのは、真っ暗な空間――などではなくて。


「あ、おかえり!」


な、んで

なんで、ここに…


「綾ちゃん…」


明かりのついた部屋。
綾ちゃんの笑顔。
そこにはある筈のない風景が見える。


「なん…」


なんで、
そう言いかけた時にわかってしまった。
視界の端に映る部屋の真ん中。
そこにいるのは、


…ああ、そうか。
お前がいるからか、幹斉。


「――ただいま。」


さっきまでの高揚など消えて、自分の心には落胆と黒い感情しかなかった。
けれど、綾ちゃんにはいい子の僕でいたいから、
感情を押し殺し、作り笑顔を――もう作り慣れたそれを顔に貼り付けて、部屋の中へと入った。
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