テディベアの彼女
「え?」
いきなり何を言っているのだろう。
これは、私の記憶でもなんでもない。
綾さんが、幹斉に向けた言葉で、
幹斉はもちろん会話していたわけだから、しらないはずはなくて。
今更、私が有人さんに伝えていい言葉かどうかなんてわからない。
でも、止まらなかった。
伝えなきゃ。
でなきゃ有人さんは、一人で何も知らないまま苦しむだけだ。
「死にたくなかった。
まだ生きていたい。
死ぬ覚悟なんて、ずっとあったはずだし、
幹斉と有人のためならいくらでも犠牲になれる、ってずっと思ってたのに、
いざ死ぬってなるとね、身体が震えるの。
普通に死ぬ訳じゃない、封印される。
死ねば天国か地獄にいけるけど、妖と一緒に封印された私は?
どこに行けるのか、行けないのか。
何もわからない、怖いの。
……死ぬ直前に、綾さんが幹斉に言った言葉です。」
有人さんが息を飲むのがわかる。
ごめん、
そう言って幹斉は綾さんを抱きしめ、そのまま術を発動させはじめた。