テディベアの彼女
「ずっと、窓の外から寂しそうな君を心配してて、
でも、徐々に笑うようになって。

最初は何に笑っているのか、わからなかったけれど、自分をみて楽しそうに、羨ましそうにしてるのに気づいて。

僕にとっては些細なことでも、勉強も、友達と遊ぶのも、仕事も、君にとっては羨ましい事なんだって思ったら、
できること全部、頑張ろうって。

……君が、気づかせてくれた。」

「わ、私も!」

「病気で辛かった時に、有人さんが楽しそうに、毎日を過ごしているのをみて……凄く憧れて。

早く病気を直して、沢山の人と触れ合って、外の世界を駆け回って、
あの人のみたいに色んなことがしたい、って。

生きる希望や闘う力をくれたのは、有人さんなんです。

ずっと、御礼がいいたかった。」

ありがとう。

続く言葉は喉まで来て止まった。


「ねえ、君の本当の名は?」


不意打ちの質問に言葉が詰まる。

もう、私はりょうではない。

なら


「良と書いて、まことです。」


そう、笑顔で答えた。


「良、か……。いい名前だね。」


そういった有人さんの表情が、あの日みたいに眩しくて。


「ありがとうございます。」


綾さん、もう大丈夫みたいですよ。

そう心の中で言ったら、綾さんの意識がふっと消えた。


……私も、もう行かなきゃ。
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