赤い月 弍

左右に揺れる赤い頭を薫は大きな手で掴み、アイアンクローをかけて叱りつける。


「バカ言ってンじゃねぇ!
死んだら元も子もねぇだろが!
てか、オメェが死ぬのは、俺が許さん!!」


俯いていた景時の頭がグっと持ち上がり、薫の指の間からその目を覗かせた。


「見たくねぇンだよ。
ヒトを喰らううさぎも。
うさぎに喰われるヒトも。」


低く、唸るような声。

睨みつけるような強い光を放つ景時の双眸を、薫は心の中で舌打ちしながら、負けじと睨み返した。

このバカは本気だ。


(てか、まじになったバカほど、手がつけらンねぇモンはねぇな。)


薫の脳裏に後悔がよぎる。

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