赤い月 弍

間をとるにしては長すぎる沈黙。
足が痛むのかと覗きこもうとした景時の鼻先に、急に勢いよく上げられた小鞠の頭がぶつかりそうになった。


「おっと? ナニゴト?」


「高杉くん!
あのね。あの、ね?
高杉くんはクラスが違ったから知らないだろうケド、私一年の時、あのコたちにイジメられてたの。」


「へ? まじで?」


「まじで。
あのコたち、いつもそーゆーコトしてたから、みんな次のマトになるのが怖くて見て見ぬフリで。
誰も助けてくれなくて。」


「…」

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