夜籠もりの下弦は恋を知る
「私の激情を夜ごと受け入れていたら、おそらく輔子は壊れてしまうでしょう。彼女には優しくしてあげたいのです。だからしばらく、他の女房のもとで吐き出していたのですが…」
この発言にはさすがの兄も少々ひいた。
「……そなた、禁欲しようとか…そういう考えは浮かばないのか…?」
「出家するわけでもないのに禁欲など…有り得ませぬ」
「…そ、そうか」
「今朝も、目覚めるのを待たずに来たのは自信がなかったからです。寝起きの輔子を前にして襲わずにいれますか?」
「そ、そうか…?」
どう相槌を打てばいいのだろう。
知盛は必死で悩んだ。
「兄上!私だって、できることなら毎夜彼女のもとに通いたいのです!苦しめないよう毎夜抱くにはどうしたら良いでしょうか!?」