夜籠もりの下弦は恋を知る
「あ~に~う~え~」
駄々っ子のような声で呼ばれてもわからんものはわからん。
知盛はもう悩むのも億劫になった。
「やはり禁欲せぬか…?」
「するくらいなら女房巡りして輔子に対する熱を冷まします」
…もう誰かどうにかしてくれ。
知盛が頭を抱えた時、パタパタと足音が近づいてきた。
「父上~!!」
庭から知盛の息子、知章が駆けて来た。
何やら両手を前に出し、揉み手のようなポーズをしている。
「どうした?」
「捕まえたのです!とても美しゅうございますので、父上にもお見せしたくて…」
彼は重ねていた手を開いた。
「蝶にございます!」
手の中には白き蝶。
知盛と重衡はそれを覗き込み、羽の優美さに感嘆の声をこぼした。