夜籠もりの下弦は恋を知る
率直な重衡の言葉に、反射的にポッと頬を赤らめる潤。
「おーい、いい雰囲気のところ悪いけど、アタシは帰るぞ~」
揚羽に同意するようにワンッと子犬が鳴いた。
「わ、わかってる!私も帰るよ!」
慌てて友人の後についていく。
「途中まで送りますよ」
重衡もついてきた。
玄関を出て、歩道に沿ってゆったり歩く。
「ワンッ!!ワン!」
子犬が揚羽の腕の中で楽しそうに尻尾を振る。
「この子の名前、何にしようかな~?」
「可愛い名前がいいんじゃない?」
潤の意見を聞いて「うーん」と悩んでから揚羽は言った。
「黒いからクロスケとか」
「……その名前って、可愛い?」
潤のツッコミはともかく…。
「その子犬はメスですよ」