Diva~見失った瞬間から~
「あ、そうだ。」
思い出した。
「ん?」
「ちょっと待っててね。」
私はソファから立ち上がり、
自分の部屋に向かった。
葉月君の誕生日プレゼントを取りに。
このタイミングなら良いでしょ。
蒼空君もさっき渡したし。
私は階段を掛け降りる。
リビングに戻ると、
葉月君はまたケーキを食べていた。
ケーキ…好きなのかな。
「葉月君。
誕生日おめでとうございます。」
私はケーキを食べている葉月君に
つい昨日買ったプレゼントを渡した。
「え、何。くれんの?」
おいおい、この状況でそれ?
「誕生日プレゼントだよ。」
「あ、マジ?ありがとう。」
ふわっと微笑む葉月君。
……カッコいい。
さっき、蒼空君も微笑んだけど、
葉月君の微笑みは何か違う気がする。
「開けていー?」
「え、あ、うん。
大したモノじゃないけど。」
その、袋を開ける仕草すら、
私には美しく鮮明に見える。
「あ、ピアスだ。」
私がボーッとしている間に
葉月君はプレゼントの包装を取り終わり
中身を確認していた。
エメラルドグリーンのピアス。
葉月君、普段はあんまり見えないけど
ライブの時に耳がキラキラと
光ってるのを見たから。
葉月君、
ピアスの穴空いてるんだーって思って
プレゼント選びの際、悩んだ末に
思い付いたのがピアスだった。
エメラルドグリーンは、
まぁ私が思う葉月君のイメージカラー。
金とか銀とか、ただ輝く色じゃなくて、
温かく輝いて、それでいて優しい色。
葉月君にピッタリだなーって
勝手に思った。