Diva~見失った瞬間から~
「……本当にこの曲が良いの?」
「何度も言ってるだろ、
この曲が良いんだ。」
私達は、ピアノがあるあの部屋に居て。
私は…
3年ぶり?にピアノの椅子に座ってる。
「……そう…。」
葉月君は、変わってる。
だって、1番好きな曲、と言うからには
1番のヒット曲とかだと思ったのに。
葉月君が1番だと言ったのは、
売れはしたけど、それほどヒットまでは
しなかった普通の曲だったから。
そしてこの曲は…私が作曲だけでなく、
作詞もした私の創った歌。
普段は鈴が作詞だったけど、
鈴が体調を崩してしまって、
締め切りの関係で
私が作詞もした曲だった。
「………じゃあ、歌う…よ?」
「ん。」
歌えるかなぁ。覚えてるかなぁ。
指はちゃんと鍵盤の上を走ってる。
…体はまだ、覚えているらしい。
「……すぅ……。」
息を吸う。
あぁ。ホントに久し振りだ。
この部屋で、このピアノで、
歌うなんて。