君への小さな想いを掲げて *my first love*
私が小さく呟いたのを聞いて、優くんは目を見開いた。
「まさか!」とでも言いそうな顔。

「だからって諦めんのか。」


「表情と言葉が矛盾してますけど。」


「…んー…光の好きな奴はお前の大事な子か?原田とか」

「違う」


「じゃあ知り合い?」


「違う。」


「…全く知らない人?」


「うん。」


私が頷くと、優くんはあきれたようにため息をついた。

「あのさ、別にライバルが知らない奴なら怖くないだろ」

「知らないから、逆に怖いんだよ。」

私が震えた声で言うと、優くんは押し黙った。
知らないから、咲姫さんのこと。

でも、光くんのあの表情で大体予想はついた。
2人は想いあっているんだと。
ベタな幼馴染なら両思いは確実だけど、2人はどうもベタって感じはしなかった。
咲姫さんに会ったことはないけれど、顔は光くんの部屋で見た。

光くんが帰り間際に見せてくれた写真には、ベッドに横たわって笑う咲姫さんと、そのよこでピースする光くんが写っていた。







< 72 / 93 >

この作品をシェア

pagetop