恋はいっぽから!
「けど…、少しは脈アリなのかしら?」





「……………。」





「5分で来たんでしょ?」




「…まあ、当然だろーな。」









莉奈はまだ……



本当のことを知らない。






言ってしまいたい気持ちと……


そうするべきではない、という気持ちが…心ん中で葛藤するけれど。




三船が隠してることを……





俺からは言えない。



言ってはいけない。





三船に従順な俺には……





言えるはずもなかった。






ただ……、





なのに何故、




アイツ…ニシハルは…、




俺に言ってきたんだ?





それが自分の判断の下、言ったのであれば…。











釘を……刺した。




俺の気持ちがこれ以上…、



アイツに向いてしまわないように…。












「……っくしょん!」




……………つーか…、






「……寒ッ!!特に首元っ。」




「うるさいわねぇ。男ならどしっと構えてなさいよ。」




……冷た…。




「情けない声出して…、ライバルに花持たせようとするなんて、アンタらしいわね。」








莉奈は困ったかのように眉を垂らして……




笑った。








彼女はどこまで…



三船とニシハルのことを理解しているのかは解らないけれど。




きっと、一番もどかしい思いをしているのは…




コイツだ。






それぞれにどこまで突っ込んでいいのか……、


協力したらいいのかがわからずに。






三船にとって、最善だと思う行動を……選ぶ。








「……莉奈。寒いしタコ焼きでも食って帰ろう?」




「……は?嫌。青のり歯につくじゃん。」




「………………。」





「…あ、タイ焼きならいいよ。」





「……了解。」








なあ……、三船。




お前が早く……



コイツの想いに気づけばいいけれど………。














俺、高津奏哉と太田莉奈はこうやって……







三船一歩に翻弄されながらも……。






「明日ニシハルに聞かなきゃ、連絡来たか。」




「……だな。」





彼女を…知りたくなる。







不思議な…性なのであった。







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