恋の飛沫
「だったら、下も脱げばいいじゃん。俺のだから、下まで隠れるでしょ」

 さらりと言う。
 さすがに夏帆も躊躇ったが、またスケスケになるのはご免だ。

 それに、もたもたしているわけにはいかない。
 とろくさい子、と思われるのは嫌だ、という乙女心も手伝って、夏帆はスカートを脱いでシャツの前を閉めた。

「あ、ありがとうございます」

 再び声をかけると、近藤が、ちら、と少しだけ振り返り、夏帆が着替え完了なのを確かめてから、くるりと向き直る。

「へへ。眼福」

 へら、と笑う。

 近藤の言うとおり、背の高い彼のシャツを着れば下まで隠れるが、膝辺りまでもあるわけではない。
 立ち上がる勇気はなく、夏帆はその場にへたり込んだまま。

< 7 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop