恋の飛沫
「ところで、何してたのさ。もう誰もいない時間だよ? 一人でこんなところで溺れてるなんて、危ないなぁ」

 夏帆の恥ずかしさを紛らわすように、近藤は至極もっともな質問をした。
 夏帆はちらりとプールサイドの奥の建物を見る。
 それは水泳部の部室だ。

「部室に忘れ物したから、取りに来たら、何かに滑って・・・・・・」

 夏帆の言葉に、近藤は、きょろ、と辺りを見回した。
 そして、少し向こうに落ちているものに目を止める。

「もしかして・・・・・・あれ?」

 近藤の指差すほうを見れば、そこには誰が置いたのか、はたまた単に落としたのか、バナナの皮。

「なっ・・・・・・。何てベタなの!!」
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