恋の飛沫
 思わず夏帆は、声を荒げる。

 こんな、コントのようなことが、本当にあるなんて。
 まして、そんな馬鹿馬鹿しいことで危険な目に遭ったのだ。

「コントで命を落としたら、シャレにならないわっ!!」

 ぷんすかと怒る夏帆に、近藤は、はは、と笑った。
 だがすぐに、少し真剣な顔になる。

「でもあのバナナの皮に感謝。お陰でお近づきになれたわけだし」

「え?」

 きょとんとする夏帆に、近藤は少し顔を近づけた。
 元の、ちょっと意地悪そうな笑みを浮かべる。

「そんなタイミング良く、俺が現れるわけないだろ。・・・・・・ずっと見てたんだよ。ずっと前からね」

 目を見開いて固まる夏帆に、近藤の顔が、さらに近づいた。



*****おわり*****
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