オレンジ

彼の部屋に行ったあの後は、二回ほど会った。
一度目は、またドライブだった。
みなとみらいの遊園地で遊んで、彼が実は絶叫マシーンが苦手だと知った。
あたしは、勝手なイメージだけど、あたしよりも大人な彼には、あたしにできることならなんでもできると思っていたから意外だった。
あたしは、遊園地に行くならジェットコースターに乗れると行きの車の中からずっとはしゃいでいたので、彼はそれを隠して一緒に乗ってくれた。
でもその後、立て続けにまた違う絶叫系を制覇しようとあたしが次に乗る物を選んでいると「ごめん、無理」といきなり打ち明けてきたので、あたしは大笑いしたのだった。

「なに、1人で笑ってんの?」
「え?あたし?笑ってた?」
「うん。ニヤニヤしてたよ」
「…ちょっと、思い出し笑い」
「なにそれー!いいなぁ羨ましい」

陽菜は大げさなため息をついた。
テーブルの上にあったストローの空袋が飛ばされて床に落ちるくらいに特大のため息だった。

「陽菜は?どうしたの?」
「あー、まぁね。ケンカ自体は全然たいしたことじゃないんだ。いつものことって言うか、だからもう理由も覚えてない。なんかたぶん、くっだらないことで言い合いになったんだけど、最近そんなんばっかでさ」

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