オレンジ

それを感じている自分に気付いて、俺は今はっきりとわかった。

これから先、ずっと一緒にいたい、守っていきたいと俺が思っているのは、彩乃だ。

「…わかった」

彩乃の小さな手が、俺の手を握り返した。


「話してくれて、ありがとう」


そう言って笑う彩乃の瞳に、もう曇りはない。


「…うん」
「大丈夫。信じる」
「…うん」


彩乃を引き寄せ、そっとキスをしながら、俺は自分に誓った。

もう、彩乃を悲しませることは、絶対にしない。
なにがあっても。

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