オレンジ
「好きなときに、勝手に来ていいよ」
そう言って拓真は、あたしにこれを預けた。
拓真の部屋の、掃除をしていたとき。
ボールペンとか、電気料金の請求書だとか、ライターだとかがごちゃごちゃと一緒くたになって入れられていた、カゴの中にあたしがこれを見つけ、
「なんの鍵?」と訊いたら、「あぁ…あげる、それ。彩乃に」と。
綺麗にラッピングして、とか
何かの記念日に、特別に、とかではなくて、あたしがたまたま見つけたからそのままあげちゃうってところが、なんだかすごく拓真だな、と思った。
それからもう1ヶ月近く経つだろうか。
あたしはまだ一度もこの鍵を使ってあの部屋に入ったことはない。
一応、というか、「彼女」なんだし、拓真はあたしを信用した上でこれを預けてくれているのだろうから、言葉通り、ほんとにいつでも行っていいのだろう。
そうは思っても、拓真のいない拓真の部屋にあたしがのこのこと行ってもいいものだろうかと、この期に及んでまだ遠慮が芽生えてしまうのだった。
…でも、いいんだよね?
そう言って拓真は、あたしにこれを預けた。
拓真の部屋の、掃除をしていたとき。
ボールペンとか、電気料金の請求書だとか、ライターだとかがごちゃごちゃと一緒くたになって入れられていた、カゴの中にあたしがこれを見つけ、
「なんの鍵?」と訊いたら、「あぁ…あげる、それ。彩乃に」と。
綺麗にラッピングして、とか
何かの記念日に、特別に、とかではなくて、あたしがたまたま見つけたからそのままあげちゃうってところが、なんだかすごく拓真だな、と思った。
それからもう1ヶ月近く経つだろうか。
あたしはまだ一度もこの鍵を使ってあの部屋に入ったことはない。
一応、というか、「彼女」なんだし、拓真はあたしを信用した上でこれを預けてくれているのだろうから、言葉通り、ほんとにいつでも行っていいのだろう。
そうは思っても、拓真のいない拓真の部屋にあたしがのこのこと行ってもいいものだろうかと、この期に及んでまだ遠慮が芽生えてしまうのだった。
…でも、いいんだよね?