オレンジ
ただ、自分は好きなだけだと
相手の女の子にしてみたら、ただの迷惑でしかないような行為を愛情表現だと思い込んでいたり、それを相手の女の子も喜んでいるはずだと勘違いしているのが
、ストーカーなんじゃないのかな。

この彼も、そういう類の人だってことなんじゃー


そこまで思い至ってから、ふと気が付いた。

あたしが

あたし自身が今、彼を、気持ち悪いとか、怖いとは感じていないってこと。

信用してはいない。


どう考えてみても、不審人物であること
は、確か。
けれど、完全な敵であり、悪だとも、感じていないことも、また確か。

こういうのが、危険なのかな。
よく知りもしない人と、こうしてなんだかよくわからないうちに関わったりしていくうちに、恐ろしい事件に巻き込まれたり、するのだろうか。
そんな人には見えなかったけど。

人は見た目じゃわからない、っていう陽
菜の意見もまた、正しいのだろうけどー

漫画でよく見る、心の中で天使と悪魔が
せめぎ合うっていう描写は、まさに今この状態を示すんだろう。

今、あたしの中では
天使と悪魔、ほぼフィフティーフィフティー。


でも、

ほんの少しだけ、天使、優勢。


かもしれない。

ふと見上げると、あたりを朱に染めながら沈んでいこうとしている太陽。

思わず細めた目にはまだ、はにかんだ彼の笑顔が焼き付いていた。
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