オレンジ
black or white?〜ayano〜
「解約、しない…?ってあんた、何言ってんの!?バカなの!?」
「え、そんな怒ること…?」
「怒るっていうか…呆れてる」

昨日一晩、じっくり考えてみたけれど、やっぱり解約の必要はないんじゃないかという結論に至った。
決定打は、やっぱりあの笑顔。

なんて言ったところで、陽菜の理解が得られるとは到底思わないので、あえて言わないことにする。

「ねぇ彩乃、悪いこと言わないからやめなって。絶対おかしいよ、そんな男。普通じゃないじゃん」
「え?やめなって…なに?」
「いや、だから…惚れたんでしょ?どうせ」
「ちが…っ!そういうのじゃないんだってば」
「じゃあどういうことよー?もうほんとにわけわかんないっ!!」

プシュッと勢い良く、今さっきコンビニで買ったばかりのコーラのペットボトルのキャップを開けると、陽菜はその3分の1くらいを一気に飲み干し、またあたしを睨んだ。
午後からの講義が突然休講になり、あたしは陽菜と駅前に遊びに来ていた。


「いい?彩乃。あたしはさ、心配して言ってんだよ。わかってる?」
「わかってるよ」

あたしの目を覗き込む陽菜の表情は固く、視線は射抜くように鋭い。

くっきり二重の、元から大きなまるい瞳を縁取るアイラインとつけまつげがその眼光を更に強調している。
だけどあたしは、怯まずにその瞳を真っ
直ぐに見返した。
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