俺と初めての恋愛をしよう

今日子は、後藤に無理やり休みを取らされた。
今日子は自分を追い詰めるように、どんどん疲れて行くように見えた。

「じゃあ、行ってくる」
「いってらっしゃい」

キスを交わして後藤は出勤した。
毎日、毎回、何をしても後藤の愛を感じる。だけど、それが今日子には不安になっているのだ。私でいいのだろうか、ずっとこのことが頭から離れない。
植草から聞いていて分かっている後藤も、そのことに触れない。
今日子が解決してくれなくては、後藤が何をどういっても、仕方がないことだからだ。
ただ、その手は絶対に何があっても離さない。それだけは決めていた。
後藤が出勤すると、部屋の掃除と洗濯を済ませ、出かける仕度をする。
特に何をするのか決めてはいなかったが、気晴らしに出かけようと決めていた。
出勤するとき、後藤は心配顔だった。
ここのところ、後藤の心配する顔ばかりを見ていた気がする。
沈んだ気分がすぐに浮き上がることが出来ずに、日々が過ぎて行っていた。
今日子を愛してくれる後藤。それを受け入れたいが、ストップをかけてしまう今日子。
まだ、自分を認め切れていない証拠だ。
雑念を振り払うように鏡に映った自分を見る。メイクをして、髪をとかすと、いくらか気分が晴れた。
なにするあてもなく街をぶらぶらと歩き、気になるショップがあれば入った。
ファッションフロアも見て歩いたが、結局両手にぶら下げた荷物は、生活用品だった。
食器に調理道具や、生活に必要なタオルなど、結局後藤との生活に必要な物を楽しく買っている自分に気が付く。
夢中で買い物をしていると、昼時を過ぎていた。
今日は後藤に手の込んだ料理を作ろう。
買ったばかりの道具で色々とメニューが浮かぶ。
だが、自分のお腹は限界なようで、賑やかな街を歩いていなければ、おなかの鳴る音が聞こえてしまっただろう。

「柴野さんの店に行こうかしら」