俺と初めての恋愛をしよう
マンションに帰ってくるなり、後藤は抑えられない気持ちを、今日子にぶつけるようなキスをした。
寝室になだれ込むようにして、激しく身体を重ねる。

「今日子……」

寝室には熱い吐息が聞こえ、外はまだ夕方の明るさが残っている。
後藤は胸に抱き寄せた今日子の髪を梳きながら、じっと見つめた。

「わたし、柴野さんからいろいろとお聞きして、正直、嫉妬しました」
「嫉妬?」
「ええ、部長が過去に付き合った女性たち。部長は私だけではなく、それぞれに好きになった人がいたんだと、改めて思いまして」
「そんなこと、くだらない」
「今どき、誰とも付き合ったことがない方がおかしいんです。だから、部長を責めるつもりも何もありません。ただ……」
「ただ?」
「ずっと迷っていた自分に、柴野さんから聞いた話が決めてとなり、私に自分の思いを再確認させてくれました。話を聞いて嫉妬したということは、私は部長のことが好きで、誰にも渡したくないと思ったということです」

後藤は思わず起き上がり、今日子を見下ろす。

「今日子」

真上にある後藤の顔に手を当て、愛おしく今日子は見た。

「私は、このままでいいでしょうか……」

それは、変えることだけを思って生きてきた、今日子の変化だ。

「当たり前じゃないか……こんなに美しい人が他にいるか?」

後藤は感動すら覚えた。
出来れば、いや、絶対に整形などさせたくなかった。だが、今日子がそうすることによって、前向きに生きていければそれでもいいとも思っていた。後藤も葛藤がなかったわけじゃない。
穏やかに生活してほしい、笑顔で暮らして欲しい。それが後藤の願いでもある。

「両親に報告してきます。一番身近で心配していましたから」
「そうだな」
「部長……」
「ん?」
「わたしなんかでいいんですか?」

後藤は今日子を起こして抱きしめる。

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