セルリアン-cerulean-[番外]

セルは驚いたように目を見開いて黙っている。


俺はそのセルの隣にいる男に向かって言葉を放った。


「クロ」


クロ、コバルト、オルビス…
複数の名をもつそいつはセルと同じくらい目を開く。


「なに?」


多少の間があって返ってきた声は、驚きからくる動揺と、少しの照れを含んでいた。


「なんかお前のことをクロって呼ぶのがセルだけってのも癪だから、俺もそう呼ぶ」


クロはニコっと音が出そうなくらい軽快に笑顔になった。


「好きにしなよ」


こいつのこんな嬉しそうな顔、初めて会った時には想像すらできなかっただろう。


「それにしても運なさすぎだろお前」


「は?」

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