やさしい色
放課後。
閑散とした教室で1人、柊は学級日誌を書いている。
そのあいだも見慣れぬ生徒がちらほら柊の教室を訪ねてきては、居残る彼女の存在を疎ましげに見やりつつ、ある人物の机の上に祈るようにチョコを載せて帰っていった。
ひときわ目立つその机、まちがいようもない、
―――入栄の席である。
こんもりと山になったチョコレートの数は全部でいくつになるのだろう。
登校したときもすでに山があった。
授業の合間の休憩時間や昼休みも、何人という生徒が彼にチョコを届けに来たらしい。
入れ物がなかったのか、それとも母親に渡されたものなのか、プレゼントを保管しておくにはあまりに色気のないスーパーのビニール袋に、色とりどりの包装紙がぞんざいに突っ込まれている。
(さすがだなぁ)
しみじみと入栄の絶大なる人気っぷりに感嘆しながら、日誌に意識を戻したところで、ふいに、ぱこっと何かが落ちる音がした。
「あらら」
見るとそれは、今さっき女子生徒が入栄の机に置いていったチョコレートだった。
柊は席を立ち、落ちた箱を拾う。
円形のふた付きの箱に、丁寧なリボンの固定、ふたの上にはもったいないほどの装飾が施されている。
ゴミを軽く払って入栄の机に置き直したとき、あたかも見計らったように、送られた本人が現れた。