やさしい色
「十分でかいと思うよ」
「まさか。嫌味?」
「ううん。だって、俺だったらそんなふうに一途に彼女の気が変わるのを待ってらんないもん。それを入栄は当然だと思ってるみたいだけど、それって実は相当すごいことだよ。
その辛抱強さと優しいところ、きっと柊ちゃんにも届いてる」
言って、和眞くんは自身の手を左胸の上にのせる。
梅香を孕んだ春風のよう、ふわりと微笑まれると、不思議と彼の言うとおりな気がしてしまうから癪で、悔しくて、けれど、
泣きそうになるほどうれしかった。
「だからさ、入栄はそのままでいてよ」
「そのまま……?」
俺の肩を軽く叩いて、和眞くんは頷いてみせる。
「笑顔で、俺なら大丈夫だって、待てるからって、心配は要らないって安心させてあげて」
おまえは、それができる人でしょ―――。