キミの香り[短編]


***


「…祥、ちゃん…」


「…大丈夫か…?」




あれからどれくらい経ったんだろう。
目を開けると、隣には祥ちゃんがいた。




「……茉矢は…?」




一瞬、全部夢だったんじゃないかって思った。
悪い夢だったんだって、信じたかった。




「瑠誠…分かってんだろ?

……これは夢なんかじゃない」



“夢なんかじゃない”



分かっとるよ。
…そんなこと、痛いくらい分かっとる。

けど、そんな小さなものにすがっても…俺は茉矢と一緒におりたかった。




「何で…茉矢なんやろ…
他の人じゃ…いかんかったのかな…?」




俺の言葉に、祥ちゃんはうつ向いた。
俺の肩を支える、祥ちゃんの手も震えていた。


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