ダイアモンドリリー
それにしても、部屋には決して豪華とは言えないが賑やかな飾りつけ。
手作りの風船や、折り紙で作った動物やみんながクリスマスを楽しみにしているのがわかる。
ひん死のクリスマスツリーにまるで短冊のように紙が吊るされている。
「あれ、、、クリスマスと言えばケーキは?」
食べ物のことならば流石のゆな、飾りつけよりケーキのほうが気になるらしい。
「まだ買ってねー、なぁサマ、ケーキ買ってきてくれよ」
「なんで僕、、、フェルが買ってくればいいじゃないですか、だいたいこの人数なら材料買ってきて作ったほうが安いですよ」
「作る!!いいねーー!私得意じゃないけど作れるかも!」
なん、、、だと、、、。
ゆなが、、、作る?ケーキを、、、?
「危険だ!!危ない!!みんなを殺す気かーー!!」
「そうですよっ僕が作ります!本かなんかがあるならたまには僕が作るのもいいかなー、、、なんて」
なぜそこまで怯えるのか。
そう、ゆなの料理
いや毒物と言ったほうが良いのか
作った料理は数知れずすべて最終的には灰になっている。
それをうまいと言っているのだから目を見開かずにはいられない。
「えー、じゃあ作るのはサマに任せるよ、、」
そこにいる全員がほっとした
のもつかの間
「じゃあ材料買ってくるくらいならいいよね!!」
なん、、、だと、、、。
言いたいことはたくさんあるがまずお使いがちゃんとできるのか。
しかし、目を輝かせてもう周りの見えないゆなに押されたフェルは
「、、、う、、、わかったよ、じゃあ紙に材料書くからちゃんとその通りに買ってくるんだぞ!!変なもの買うなよ!わからなくなったらお店の人に聞くこと!」
「わかってるよ!」
うるさいなー、とぐちぐち言いながら玄関に向かっていく。
「待って!ゆな僕も行きます」
「サマ、、、何で?1人で行けるよ」
「いや、僕も暇だからさ、それに一人じゃ危険でしょうし雪も降ってるし」
双子の弟、サマもコートを羽織り玄関に向かうが
「おいおい坊や、私を誰だと思っている、もう17歳の大の大人よ一人で行けるわ」
「でも、、。」
どこか不安げな瞳でゆなを見る。
不意にサマの後ろから手が伸びて
「おい、これ材料書いたからちゃんと買ってこいよー、ゆなちゃんってば大の大人なんでちゅもんねー1人でお使いいけまちゅよねー」
フェルだ。
お使い?
1人でお使い?すごーい!
と、ちびっ子たちの観衆に囲まれながら
「このやろー、バカにしやがって!行ってきます!!」
とドアを勢いよく閉め、雪の降る中寝間着姿に長い黒髪をなびかせ少女は歩いて行った。