Fake Love
「カナ、一回投げて」
カメラマンさんの指示に
「はい。楓ちゃん、ダーツを握る手の力を抜いて。添えるだけでいいから」
「は、はい」
桐生さんが私の手を握って…投げた。
ダーツは真っ直ぐに飛び…ど真ん中に刺さった。
「わっ!わぁ~す、凄い凄い!真ん中ですよ、真ん中」
私が投げた訳でもないんだけどやっぱり嬉しい。
思わず桐生さんの腕を取って振り回して…
あっ!
「す、すみません」
桐生さんの笑い顔を見て我に返る。
「いいよ、謝らなくても」
慌てて離れる。
もう!
私何やってんだろ。
これじゃ浮かれた子どもみたいじゃない。
「OK。いい写真撮れた。山科さん可愛かったよ」
へっ?
カメラマンさんの方を見て
「あ、あの、い、今の…」
「うん。本当の恋人の雰囲気だったよ」
「……」
う、嘘~
「す、すみません。すみません」
桐生さんに馴れ馴れしくしちゃったよ。
とにかく謝ると