美容師男子×美麗女子


「飲んじゃいなよ」


眉を寄せて、グラスを受け取る。

彰が飲んでいるのを見ると、安心した。


「毒なんて入ってないよ、どんだけ警戒してんだよ」


彰が苦笑して、あたしもグラスに口をつけた。


「そんなに酒は強くない?」

「うん、あんまり飲めない。すぐに赤くなるの」

「意外、めっちゃ飲めそうな顔してるのに」


グラスを置いた。


「話ってなに?」


彰もあたしをちらりと見ると、グラスを置く。

まぁ、話って話もないんだけど。と苦笑した。



そこから先は、自分でも意外なほど飲んでしまって、一部始終ぼんやりしてた。

24時がまわっても、ずっと彰と喋りこんでいた。


「え?」

「だから、分からないんだよね」


彰はあたしの髪を撫でながら、そう言った。

顔が火照っている。酔っているながらに思った。飲みすぎたって。


「恋愛ってのが」


ぐい、と頭を抱えられて、彰の胸元に引き寄せられた。

後頭部に彰の鼓動を感じる。


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