美容師男子×美麗女子
「・・・・・・なに」
今度は、千尋の手の平があたしの頬をつかんだ。
これはちょっと想定外。
「ねえ、千咲。期待していいの?」
口先でそう呟いて、今度は千尋があたしにキスをした。
期待って、なに?
そう聞くのをやめて、離れた千尋を見つめる。
温い手の平があたしの頬を撫で続ける。
「期待って、なに?」
やっぱり聞いた。
すると千尋は少し笑って、そして答えてくれた。
「なんだろう」
そして、またあたしにキスをした。
温い手の平と、温かい唇。
その感覚にあたしは目を閉じた。
甘い、匂い。
甘い、手つき。
あんたは、いつも甘いんだ。
「つまり、あたしをすきってこと?」
知ってるよ。それくらい。
あんたがあたしを好きなことくらい。
ただ、あたしの中には入ってほしくなかった。
あたしの日常を乱してほしくなかった。
だから、気付かないようにしていた。