美容師男子×美麗女子
「千尋って、オトメン・・・・・・・」
ぎっ、と千尋があたしを睨み上げる。
「それ、禁句」
「うん、ごめん」
ちょっと笑いが込み上げてきた。
だって、あたしよりも乙女なんだから、笑っちゃう。
本人は禁句らしいけど。
「・・・・・ここ、座ってて。用意するから」
千尋は立ち上がり、あたしにベッドを指差す。
おいおい、千尋って本当に頭の中は美容師のことだけなんだなぁ。
普通、ベッドを選ぶ?そう思いながらも、あたしはそのまま座った。
まぁ、千尋なんかに襲われるのなんか可愛いもんだ。千尋もそんな根性ないだろうし。
「足だったらさ、学校にもばれないし、丁度いいよね」
「あぁ、確かに。でも、冬って裸足にならないだろ?」
「・・・・・つけてると、気分上がるから・・・」
あたしに背を向けて、箱を漁りながら喋る千尋はあたしの核心をついた。
まぁ、普通は裸足じゃないよね。
あたしの場合、冬夏関係なく仕事でミュール履いたりするけど。
「もうデザインは決まってんだ」
「ふうん、どんなの?」
「こないだの、藍」
千尋はビンを3本、指に挟みながら笑った。
あたしの足元にそれを置くと、胸ポケットからゴムを取り出して髪をしばる。
ぴょんぴょん跳ねた癖毛が可愛い。