出会いの海岸

2

そういって、サンタは海に入っていった。確かに、すぐそこに投げたので、探せないことはなかったかもしれないが、まさか美幸も芸能人がいくら浅瀬だと入ってもこんなところで、鍵を探し始めるとは思っていなかった。
有香「ねえ、どうすんのよ」
美幸「どうするって」
有香「しかし、先にいえばいいのにね。何もなかったことにしてくれるんだったら」
涼子「ほんとうだよ。警察だって」
美幸「謝って、私達も探そうか鍵」
有香「いまさら」
涼子「もう無理だよ。だいたいみつからないよ」
美幸「大丈夫だよ。ここにあるから」
有香「なによ。それじゃ、さっき投げたのは」
美幸「ああ、あれは家の鍵。合い鍵」
有香「なんだよ。それだったら、探す必要ないじゃん」
美幸「でも、今出したらあいつ怒るでしょ」
有香「それでどうするの」
美幸「私に任せて。とりあえずみんなで探す振りしてよ」
涼子「探すふりってどれぐらい」
美幸「30分ぐらい」
涼子「ええ、30分も」
美幸「お願い。それぐらいで、私が、見つけるから」
有香「それって、どういうこと」
美幸「なんとか話が収まったところで、私が見つけるのよ」
有香「しかし、そんなことする必要ある。だいたい、なんのためにここへきたの」
美幸「お昼でも、ご馳走してもらおうよ」
有香「そんな状況じゃないよ」
涼子「ああ、カニだ」
美幸「ほんとだ。カニって岩場にいるんだと思ってた。そうだ、カニでも食べない」
有香「カニどころじゃないよ。大丈夫なの」
美幸「大丈夫」
そういって、美幸がサンタのそばへ行って、一緒に鍵を探し始めた。
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